「2型糖尿病患者の腹腔鏡手術における周術期の血糖コントロールと術中低体温症との関係に関する検討」へご協力のお願い

2019年1月1日〜2020年12月31日の間に肝・胆・膵臓外科及び消化器外科で腹腔鏡手術を受けられた患者様へ

研究機関名 岡山大学病院 岡山大学大学院医歯薬学総合研究科

研究機関長

【岡山大学病院長】
前田 嘉信
【岡山大学大学院医歯薬学総合研究科長】
伊達 勲

研究責任者

【岡山大学病院 麻酔科蘇生科】
助教
黒田 浩佐

1.研究の概要

  1. 研究の背景および目的

    周術期の高血糖は、創傷感染、肺炎、敗血症、心血管イベントなど、さまざまな有害事象と関連しています。良好な血糖値管理が、術後の死亡率、入院期間、および脳卒中などの心血管合併症の減少に役立つと考えられています。

    手術中、特に全身麻酔中には体温低下が起こりますが、通常、生体反応としての血管収縮が生じ、その進行を防ぐとされています。糖尿病の患者さんでは、皮膚や組織の血流が変化していることが知られており、その一因は自律神経障害にあると言われています。すなわち、糖尿病の患者さんでは末梢神経の機能に異常がみられ、体温調節のための効果的な血管収縮が妨げられていると考えられています。このことから、糖尿病の患者さんでは、手術中に低体温になりやすい可能性があります。

    術中の低体温の頻度は医療の進歩とともに減少していますが、それでもある程度の頻度で発生しています。そのため、術中の低体温につながる危険因子や予防策を研究することが重要です。糖尿病の患者さんのグリコシル化ヘモグロビン値は、体温回復までの時間と関連があるといわれていますが、周術期の血糖値管理と術中低体温との関係については結論が出ていません。

    以上のような背景から、今回の研究では、腹腔鏡手術をうける2型糖尿病の患者さんにおいて、周術期の血糖コントロールと術中低体温症との関係を探ります。

  2. 予想される医学上の貢献及び研究の意義

    この研究の目的が達成されれば、腹腔鏡手術を受ける2型糖尿病の患者さんにおける周術期の血糖コントロールと術中低体温症との関係が明らかになり、麻酔管理の質の向上につながると考えられます。低体温症の発生率に影響を与える要因を明らかにすることで、術前の危険因子の特定が容易になり、術中および術後の管理の質が向上し、患者さんの負担や医療費の削減につながります。

2.研究の方法

  1. 研究対象者

    2019年1月1日から2020年12月31日の間に、岡山大学病院肝・胆・膵臓外科および消化器外科において腹腔鏡手術を受けられた方約500名を研究対象とします。

  2. 研究期間

    倫理委員会承認後〜2023年12月31日

  3. 研究方法

    この研究では、岡山大学病院肝・胆・膵臓外科及び消化器外科で腹腔鏡手術を受ける20歳以上の患者さんを対象とし、周術期の血糖値の推移、術中の低体温症発生の有無のほか、患者背景や術中麻酔管理の状況などについて、過去にさかのぼって情報収集を行います。
    評価項目は、術中の血糖値の推移と術中低体温発生の有無であり、周術期の血糖管理と術中低体温症との関係を明らかにします。その他、低体温症の発生に影響する因子について検討します。

  4. 使用する情報

    この研究に使用する情報として、カルテから以下の情報を抽出し使用させていただきますが、氏名、生年月日などの患者を特定できる情報は研究の中止または終了後に削除し使用します。また、患者の情報などが漏洩しないようプライバシーの保護には細心の注意を払います。

    1.患者基本情報:年齢、性別、身長、体重、診断名、手術名、合併症、術前状態分類(ASA)、血液生化学検査データ(HbA1c、血糖値)
    2.術中に関する情報:術式、手術記録、麻酔記録、輸液量、尿量、体温、血液ガス分析データ、血液生化学検査データ(血糖値)
    3.術後に関する情報:臨床経過(医師病歴書、看護記録)、術後合併症の有無、ICU 滞在日数、病院滞在日数

  5. 試料・情報の保存、二次利用

    この研究に使用した情報は、研究の中止または研究終了後5年間、岡山大学病院麻酔科蘇生科内で保存させていただきます。電子情報の場合はパスワード等で制御されたコンピューターに保存し、その他の情報は施錠可能な保管庫に保存します。

  6. 研究計画書および個人情報の開示

    あなたのご希望があれば、個人情報の保護や研究の独創性の確保に支障がない範囲内で、この研究計画の資料等を閲覧または入手することができますので、お申し出ください。また、この研究における個人情報の開示は、あなたが希望される場合にのみ行います。あなたの同意により、ご家族等(父母(親権者)、配偶者、成人の子又は兄弟姉妹等、後見人、保佐人)を交えてお知らせすることもできます。内容についておわかりになりにくい点がありましたら、遠慮なく担当者にお尋ねください。
    この研究は氏名、生年月日などの個人を特定できるデータをわからない形にして、学会や論文で発表しますので、ご了解ください。

    この研究にご質問等がありましたら下記の連絡先までお問い合わせ下さい。また、あなたの情報が研究に使用されることについて、あなたもしくは代理人の方にご了承いただけない場合には研究対象としませんので、2021年9月30日までの間に下記の連絡先までお申し出ください。この場合も診療など病院サービスにおいて患者の皆様に不利益が生じることはありません。

問い合わせ・連絡先

相談窓口の責任者
黒田 浩佐 (岡山大学病院 麻酔科蘇生科 助教)
電話
086-235-7327 (平日:8時30分~17時00分)