「肝移植手術時の全身麻酔におけるレミマゾラム群とスープレン群の周術期の比較」へご協力のお願い

2021年4月1日から2022年11月4日の期間に岡山大学病院にて肝移植手術を受けられた18歳以上の患者様、そのご家族へ

岡山大学病院

研究機関長

【前田 嘉信】

研究責任者

【岡山大学学術研究院医歯薬学域 麻酔・蘇生学分野】
教授
森松 博史

研究分担者

【岡山大学病院 麻酔科蘇生科】
医員
片山 明

1.研究の概要

  1. 研究の背景および目的

    レミマゾラムは2020年1月に世界に先駆けて日本で初めて承認された超短時間作用型ベンゾジアゼピン系の静脈麻酔薬です。レミマゾラムの特徴は速やかな麻酔・鎮静作用の発現と消失に加えて、良好な循環動態の維持とされており、当院でも院内採用以来使用症例数は増加してきており、小児を含む幅広い全身麻酔症例に適用しています。一方で、レミマゾラムは組織カルボキシルエステラーゼによって代謝されそのクリアランスは重度肝不全患者では低下することが知られており、覚醒時間の延長などが報告されています。当院で肝移植手術を受ける患者は術前から重度の肝不全状態であり、さらに手術中は門脈結紮から門脈吻合までの無肝期時間もあることでクリアランスはさらに低下することが予想されます。そこで肝移植手術において、レミマゾラムにて全身麻酔を維持した症例と従来から使用されている吸入麻酔薬であるスープレンにて全身麻酔を維持した症例を後方視的に観察し、覚醒までにかかった時間を含めて術前・術中・術後の情報を比較・検討します。

  2. 予想される医学上の貢献及び研究の意義

    これまでは肝不全患者には使用しづらかったレミマゾラムが肝不全の最重症症例である肝移植手術を受けられる患者様に安全に使用できることが証明されると、レミマゾラムの適用症例が広がる可能性があります。レミマゾラムは麻酔導入時の血圧低下を来たしにくいなどのメリットがある薬剤であり、より安全に全身麻酔を行うことが可能となります。

2.研究の方法

  1. 研究対象者

    2021年4月1日から2022年11月4日の間に、肝移植手術を受けられた18歳以上の患者様30名を対象とします。

  2. 研究期間

    研究機関の長の許可日~2023年12月31日

  3. 研究方法

    単施設で施行される侵襲を伴わない後方視的観察研究で、肝移植手術を受けられた患者様を、レミマゾラムによって麻酔維持された群と、スープレンにて麻酔維持された群に分け、術前・術中・術後の情報を比較します。

  4. 使用する情報

    この研究に使用する情報として、カルテから以下の情報を抽出し使用させていただきますが、氏名、生年月日などのあなたを特定できる情報は研究の中止または終了後に削除し使用します。また、あなたの情報などが漏洩しないようプライバシーの保護には細心の注意を払います。

    1、基本情報:年齢,性別,身長, 体重, BMI, 診断名,手術名, MELDスコア, Child-Pugh分類, 術前血液生化学検査
    2、手術情報、術中の麻酔方法や輸液または輸血に関する情報
    3、術後に関する情報:抜管に要した時間, ICUにて投与された薬剤の種類・量, 輸液または輸 血に関する情報, ICU・病院滞在日数, 術後合併症の有無

  5. 情報の保存、二次利用

    この研究に使用した情報は、研究の中止または研究終了後5年間、岡山大学病院麻酔科内で保存させていただきます。電子情報の場合はパスワード等で制御されたコンピューターに保存し、その他の情報は施錠可能な保管庫に保存します。なお、保存した情報を用いて新たな研究を行う際は、倫理委員会にて承認を得ます。

  6. 研究計画書および個人情報の開示

    あなたのご希望があれば、個人情報の保護や研究の独創性の確保に支障がない範囲内で、この研究計画の資料等を閲覧または入手することができますので、お申し出ください。
    また、この研究における個人情報の開示は、あなたが希望される場合にのみ行います。あなたの同意により、ご家族等(父母(親権者)、配偶者、成人の子又は兄弟姉妹等、後見人、保佐人)を交えてお知らせすることもできます。内容についておわかりになりにくい点がありましたら、遠慮なく担当者にお尋ねください。
    この研究は氏名、生年月日などのあなたを特定できるデータをわからない形にして、学会や論文で発表しますので、ご了解ください。

    この研究にご質問等がありましたら下記の連絡先までお問い合わせ下さい。また、あなたの情報が研究に使用されることについて、あなたもしくは代理人の方にご了承いただけない場合には研究対象としませんので下記の連絡先までお申し出ください。ただし、すでにデータが解析され、個人を特定できない場合は情報を削除できない場合がありますので、ご了承ください。この場合も診療など病院サービスにおいて患者の皆様に不利益が生じることはありません。

問い合わせ・連絡先

岡山大学病院 麻酔科蘇生科
氏名
片山 明
電話
086-235-7778(平日:9時00分~17時00分)
ファックス
086-235-6984