岡山大学病院集中治療部 (ICU)

概要

1)2013年 リニューアル
岡山大学病院 集中治療部は1971年に日本の中では先駆け的に、独立した機能を持った集中治療室(ICU)として発足しました。2013年4月から麻酔科蘇生科は森松博史新教授の下に新体制となり、5月からは中央棟が新病棟へ移転致しました。それに伴い、旧北ICU(10床)は、総合診療棟4階に移転し、先天性心疾患患者を対象としたCCU(8床)と同一フロアー診療を開始し、東ICUと合わせると全22床(+小児CCU 8床)で運営しております。

2011-2013年のICU入室患者数の推移

2)2013年度入室内容
手術件数は約9000件、麻酔科管理症例は約6000例と臓器移植手術も含め近年の傾向通り年々増加しております。それに合わせ、術後の重症患者のICUへの入室数も約1700人にまで増加してきました。
当院ICUはsurgical ICUであり、呼吸器外科、脳神経外科、肝胆膵外科、消化器外科術後患者で約60%を占め、内科系患者は約10%となっております。近年の傾向としては、頭頸部腫瘍手術をはじめ、複数の科が関わる手術の増加で、術後管理もmultidisciplinary approachで行っております。

2013年度ICU入室患者科別内訳

3)臓器移植手術術後管理 当院の特色である肺移植をはじめとする、臓器移植(肝・腎)手術も盛んに行われています。2013年度の移植手術内容は表1の通りです。 移植術後の急性期はすべてICU入室し、移植特有の病態へ昼夜を問わず対応し、良好な成績を収めております。特に2013年は、国内での成人2例目(1例目も当院)の肝腎同時移植手術や当院初の心移植手術も施行され、術後管理にも積極的にあたっています。

<表1> 2013年度の臓器移植手術内訳
臓器別 肺移植 肝移植 腎移植 肝腎同時移植 心移植
症例数 16 17 9 1 1

ICU専従医制度

これほど多数の手術患者を管理している麻酔科が、集中治療部を独立させることなく、麻酔とICU管理を両立させて、術後管理までもトータルに行っている病院は多くはありません。
その中でも、死亡率1.4%、平均ICU滞在日数は4.5日、48時間以内の再入室 0.6%という非常に安定した成績を収めております。
2012年から両ICUでの入室対象科の区別、2週間毎のICU専従医制を導入しております。ICU専属医を可能な限り配置することで、方針決定から治療施行までをスムーズに行えるようすべく努力しております。

ICUの使命

上述のようなICUを取り巻く環境の中で我々集中治療部の使命は

  1. 一人でも多くの患者を元気に退室させる。
  2. 術後患者のSAEsを減少させる。
  3. 患者、家族の満足できるサービスを提供する。
  4. 大学病院のICUとして、広く研究、教育に取り組む。

であると考えています。

岡山大学病院ICUの卓越性

1)充実したスタッフ
岡山大学病院ICUの卓越性の最も大きなものは、充実したスタッフです。現在ではAustraliaの成人・小児のICU経験者が多数スタッフとして働いています。指導する立場の人間のほとんどが、海外の臨床の現場をみてきた人たちであり、そのような指導者が複数名いる施設は日本ではほとんどないでしょう。彼らは臨床のみならず、多くの臨床研究も行い、結果を海外の学会、雑誌などにも発表しています。いわゆる世界レベルで仕事のできる人たちが複数名いるのは岡山大学病院ICUの特筆するべき特徴です。

2)豊富な症例数
もう一つの岡山大学病院ICUの卓越性のその症例の多様性+豊富さでしょう。術後患者に関しては成人、小児を問わず、また肝移植、肺移植、腎移植などの特殊手術、心臓血管外科、食道外科などの高侵襲手術など一般的な症例も多くいます。総合病院であるためにすべての診療科が存在し、それぞれの科からコンサルトを受け、またこちらからコンサルトすることも可能です。
設備的にも人工呼吸、透析はもちろん、ECMO、血漿交換なども24時間体制で行える設備が整っています。ICUの使命である、24時間どのような重症患者にも最高の医療が提供できる体制が整っているといえます。

3)抄読会や症例検討会
毎週水曜日には森松教授が重要文献の解説をして下さいます。
また、重症例、adverse event発生などに関しては症例検討会、M&Mカンファレンスも行い、日々経験を明日以降の診療に活かすべく臨床以外の活動も行っております。

最後に

手術件数のみならず、重症患者の手術が多いのが岡山大学の特徴であるとも言われています。これらの症例が満足にこなせるのは麻酔科が周術期管理に積極的に関わっている賜物といえます。術前、術中、術後とトータルに患者をケアできるからこそ、多数の重症症例にも対応できているのです。
我々は2013年にリニューアルを迎えました。新たなスタートを期に、これまで以上に他科・病棟との協力連携を徹底し、今後も岡山大学病院ICUは最良の医療の提供のために、日本および世界のICUのFlagshipとなるように、日々進化していきます。