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ペインクリニック治療を受けられる方に

 
岡山大学医学部附属病院 麻酔科蘇生科

緊急連絡先
  平日17時まで :(086)235-7778(麻酔科蘇生科)
  時間外、土・日・祭日 :(086)235-7733(集中治療部)
 

ペインクリニックとは

ペインクリニックとは痛みを治療する診療科のことです。
現在では大学病院や大病院ならどこでも行っています。原因がわからない痛みが主な対象で、頭痛、顔面痛、頸肩腕痛、腰下肢痛、帯状疱疹痛の他、顔面神経麻痺、手足の循環障害による痛みなどが対象となります。
痛みの治療を目的とするものですが、単に痛みのある患者に鎮痛薬を注射したり、投薬したりすることではありません。痛みと関係深い神経の近くに細い針を刺し、濃度の低い局所麻酔薬の少量を注入して、ある一定の時間、神経を麻痺させる方法(神経ブロック)を応用して、痛みや病気の原因を調べ、治療を同時に行うものです。その治療の主体は神経ブロックですが、他の薬物、理学療法、リハビリテーション治療なども補助的に併用されることもあります。

痛み治療の原理

痛みには2つの種類があります。1つは体にとって有用な痛みと、もう1つは無用で有害な痛みです。有用な痛みは生体の異常をしらせる警告信号で、外傷や火傷などの際に役立ち、人間は逃避反応を示します。このほか、胃炎、胆石、虫垂炎など内臓に起こった病変を知らせる役目もあります。
一方、慢性的な痛みは一般的には無用のものが多くあります。このような痛みにも生体は防御反応を示します。体に傷がつき、痛みが起こると生体は反射的に交感神経が緊張して、副腎からアドレナリンが分泌されます。このため心臓の働きが強くなり、血圧が上昇し、呼吸も大きくなります。血管が収縮して局所の血流が少なくなり、血液が固まりやすくなり、血液の喪失を防ぎます。局所の血流不足から発痛物質が長く局所にとどまる原因にもなり、痛みが持続することになります。痛みを抑える方法にはいろいろありますが、ペインクリニックでは神経ブロックという方法が主体となります。
この方法で治療されると、神経では交感神経、知覚神経や運動神経などがブロックされます。このとき、交感神経のブロックが血管を拡張させ、局所の血流を増加して、たまっていた発痛物質を血流中に追い出し、局所を正常化するように作用して痛みを取り除きます。

ペインクリニックの対象となる疾患
疼痛
 

[1]全身:悪性腫瘍による疼痛、外傷後疼痛、術後痛、帯状疱疹
[2]頭部:片頭痛、筋収縮性頭痛、後頭神経痛、その他の頭痛
[3]顔面:三叉神経痛、舌咽神経痛、非定型顔面痛、その他の顔面痛
[4]頸・肩・上肢:頸肩腕症候群、外傷性頸部症候群、五十肩
[5]胸背部:肋間神経痛
[6]腹部内臓:膵炎、胆管運動障害、腎尿管結石、慢性内臓痛
[7]腰下肢:坐骨神経痛、変形性脊椎症、脊柱管狭窄症、いわゆる腰痛症
[8]四肢:カウザルギー、幻肢痛、バージャー病、閉塞性動脈硬化症

   

麻痺
 

顔面神経麻痺(ベル麻痺、ハント症候群)、外傷性神経麻痺

   

【その他】
 

レイノー病、レイノー症候群、多汗症

   

ペインクリニック治療法の種類
神経ブロック療法
 

星状神経節ブロック硬膜外ブロックくも膜下ブロック、腹腔神経叢ブロック
胸部・腰部交感神経節ブロック、腕神経叢ブロック、肋間神経ブロック
三叉神経ブロックなど

   

薬物療法
 

注射療法、経口投与法、坐薬投与法

   

硬膜外刺激電極、ライザー照射、電気刺激療法など
 

   

治療後の注意点について

神経ブロック治療を受けると、体の局所の神経が短時間(1〜2時間)の間麻痺しますので、いろいろな症状が出ることがあります。それぞれのブロック後の副作用や注意点について、医師や看護婦の説明をよく聞いて、しばらくは安静にしておいてください。いろいろな症状が出ても、たいていは治療後2〜3時間以内には元にもどります。
家に帰ってから、変わった症状が出たり、心配になったりしたら、直ちに麻酔科医に連絡をとって、指示を受けください。症状が急変したら、直ちに岡山大学附属病院の救急外来においでいただき、麻酔科医の診察を受けてください。夜中でも結構です。

   

もっと詳しく自分の治療法を知りたい方のために

もっと詳しく自分の治療法を知りたい方は、担当の麻酔科医におたずね下さい。

   


あとがき
 
ご自分がお受けになる神経ブロックのことがご理解いただけたでしょうか。
何か不明な点や、さらにおたずねしたいことがありましたら、遠慮なく担当の麻酔科医におたずね下さい。

緊急連絡先
  平日17時まで :(086)235-7778(麻酔科蘇生科)
  時間外、土・日・祭日 :(086)235-7733(集中治療部)

相手が出ましたら、麻酔科医師への緊急連絡を依頼し、あなたのお名前、電話番号を伝えてください。
折り返し担当麻酔科医が御連絡いたします。
   



星状神経節ブロックについて  
   

方法

第7頸椎の横突起の根元にある交感神経節を星状神経節といいます。この神経節の近くに、局所麻酔薬を注入することを星状神経節ブロックといいます。

効果
交感神経(自律神経)の緊張が持続していると、痛みや麻痺、しびれをはじめいろいろな症状が現れます。神経の緊張を抑える(ブロック)ことで、症状が改善します。

具体的には、交感神経がブロックされると、血管が拡張して血流が増加します。

目的とする部位周辺だけの血管拡張なので、全身への影響はありません。また交感神経が関与するいろいろな痛みを軽減します。

直接的な効果の範囲は、顔面・頭部・頸部・肩・上肢です。運動神経や知覚神経への影響はありません。

適応症
  1. 痛み:帯状疱疹、顔面痛、三叉神経痛、頭痛、外傷性頸部症候群、頸椎捻挫、五十肩、肩痛
    肩こり、上肢痛、カウザルギー

  2. 麻痺:顔面神経麻痺

  3. 循環障害:レイノー症候群、閉塞性動脈硬化症

  4. その他:自律神経失調症、突発性難聴、多汗症、耳鳴、眼科的疾患など
   

お願いと注意事項
  1. 注射を受けている間に、耳鳴、めまい、頭がボーとしたり手にひびくときは知らせて下さい。くび・肩にひびくことがありますが心配いりません。

  2. ブロック後1時間は安静が必要です。ブロック部位を5分くらい反対の手で圧迫をして下さい。ブロック側の頬が温かくなったり、まぶたが下がったり、鼻づまりを生じることがありますが、ブロックによる一時的な症状です。 

  3. 声が出にくい:4割ぐらいの人にみられます。1時間程度で必ず元へ戻ります。この間飲食をするとむせることがありますので、控えてください。

  4. 上肢運動麻痺:まれにみられますが、必ずもとにもどります。もしあれば知らせてください。この間は車の運転はしないでください。

  5. 頸部痛:翌日も強い痛みがあれば、ご連絡下さい。痛みがある間はブロックは休止します。

  6. 血腫:頸部の血管を穿刺した場合に起こることがありますが、ブロック後の圧迫を適切に行えば防止できます。しかし、抗凝固薬を服用中の場合には、小さな血管の穿刺でも起こりやすいので、服薬を中止していただきます。

  7. 頸部腫脹:ブロック後2〜5時間して、両側の頸部が強く腫脹して、呼吸困難になった例が国内でも報告されていますが、きわめて稀なことです。もし、頸部の腫脹や呼吸困難などの症状が現れた場合は、直ちに麻酔科医に連絡をとって、受診してください。


硬膜外ブロック治療について  
   

硬膜外ブロックについて

脊柱の硬膜外腔というところに、少量の局所麻酔薬を注入する方法です。
痛みを伝える神経の興奮を抑えることで、痛みが軽減します。交感神経の興奮を抑えることで、血管が拡張して血流が増加します。運動神経の興奮を抑えることで、筋の緊張が軽減します。

安全な治療を行う前に以下の注意事項を守ってください
  1. ブロック後、血圧が低下したり、筋力が低下しますので、1時間前後ベット上で安静にしてください。安静後起きてみて、ふらつきがなく、筋力も回復していたら帰宅していただきます。

  2. ブロック当日は入浴しないでください。翌日には背中の絆創膏をはがして入浴してください。

  3. 背中の痛みが強くなるときや、熱が急にでたときには、麻酔科にすぐ連絡してください

膜硬膜外ブロックの合併症、随伴症状について

運動麻痺
 

ブロックが強くきくと、筋力が低下し、足に力が入りにくいことがあります。
安静時間を長くとれば回復します。

   

【硬膜外感染】
 

背部痛、発熱に始まり、進行すると麻痺になることがあります。背部痛、発熱があれば、すぐに麻酔科に連絡して受診してください。

   

硬膜外血腫
 

背部痛、臀部痛に始まり進行すると、麻痺になることがあります。抗凝固薬を使用している方は、危険性が高くなりますので服薬を中止していただきます。背部痛、臀部痛があれば、直ちに麻酔科医に連絡をとって、受診してください。

   

詳しいことは、担当の医師におたずねください。



(胸部・腰部)交感神経節ブロックについて  
   

方法

胸髄以下では、脊髄から出る交感神経が各椎体ごとに、左右に1対の交感神経節を形成しています。背部から針を刺入して、目的とする交感神経節に針先を進め、ここにアルコールを注入する方法を交感神経節アルコールブロックといいます。
上肢の症状には胸部(第2胸椎)で、下肢の症状には腰部(第2・第3腰椎)で行います。ブロック針の刺入はX線透視下またはCTガイド下にて行います。この治療では、約1週間の入院が必要です。

効果

交感神経がブロックされると、血管が拡張して血流が増加します。目的とする部位の周辺だけの血管拡張なので、全身への影響はありません。また、交感神経が関係するいろいろな痛みを軽減します。アルコールを使用した場合には、数ヶ月から数年の効果が持続します。運動や感覚神経への影響はありません。

適応性

四肢の循環傷害(閉塞性動脈硬化症、レイノー病、バージャー病など)、
帯状疱疹後神経痛、糖尿病壊死、外傷後痛、術後痛、難治性疼痛

合併症

アルコール神経炎
 

交感神経周辺の知覚神経にアルコールが作用すると、神経痛が起こることがあります。まれですが、知覚の低下が起こることもあります。あらかじめ造影剤入りの局所麻酔薬で薬のひろがりをテストしますので、その発生率は高くありません。起きたとしても2〜3ヶ月で回復してきます。

   

【神経根刺激症状】
 

ブロック針が神経根に触れたときには、しばらく神経支配領域に痛みが続くことがありますが、X線透視下またはCTガイド下に行うのでその発生率はきわめて低くなります。

   

血腫
 

針先の周辺で出血し、止まりにくい場合に血腫が形成されます。通常は無症状のままで自然に吸収されます。抗凝固薬を使用している患者さんは、大きな血塊になることがありますので、服薬を中止してから行うことにしています。

   

【気胸】
 

胸部で行うときに、まれにみられる合併症です。呼吸困難感、胸痛が主な症状です。自然治癒することが多いのですが、治癒しにくい場合は、胸腔内の空気を抜く治療を行います。X線透視下またはCTガイド下に行うので、これらの合併症の発生率はきわめて低いと考えられています。

   

詳しいことは、担当の医師におたずねください。
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(C) 2007 Okayama University Graduate School of Medicine, Dentistry, and Pharmaceutical Sciences
Department of Anesthesiology and Resuscitology