学生教育

 
 

大学病院では高度な医療の提供や研究とともに教育が最も重要な任務の一つです。岡山大学麻酔・蘇生学講座では講座開設以来、常にこの学生教育に重点をおき、講義や実習を通じて、麻酔科学・集中治療医学・疼痛学(ペインクリニック)の重要性と面白さを教えてきました。その結果、麻酔・蘇生学に興味を持った多くの学生が、卒後に麻酔科学・集中治療医学・疼痛学の研鑚を希望し、われわれも入局あるいは研修のかたちで多くの医師を喜んで迎え入れてきました。また麻酔科での研修を選択せずに外科系あるいは内科系の各科に進んだ医師も臨床実習を通じて、麻酔科の行っている医療内容及びその重要性を認識しており、臨床における麻酔科と他科との相互理解を深め、高度な連携を築く基礎となっています。

[4年生(臓器・系別統合講義)]
 

麻酔科学、集中治療医学、疼痛学(ペインクリニック)を学ぶにあたり基本的な事項を森田教授以下スタッフ全員がそれぞれの専門領域について講義しています。また、学内のスタッフのみならず学外より多くの講師を招聘し、学生に常にリアルタイムで高度な講義を提供しています。

講義内容(平成18年度の講義担当教官)
麻酔科学総論 (森田教授)
全身麻酔薬 (森田教授)
全身麻酔法 (竹内講師) (現 自治医科大学とちぎ子ども医療センター小児手術・集中治療部教授)
脊髄くも膜下麻酔・硬膜外麻酔 (横山准教授)
筋弛緩薬 (中塚講師)
麻薬・鎮痛薬 (溝渕講師)
局所麻酔薬 (大阪市立大学 浅田教授)
麻酔と体温 (東京女子医大 尾崎教授)
麻酔と循環生理 (徳島大学 大下教授)
麻酔と呼吸生理 (五藤准教授)
集中治療医学総論・ショック (森田教授)
多臓器不全・血液浄化法ほか (片山准教授)
人工呼吸管理、ARDS (岡山赤十字病院麻酔科 時岡部長)
脳蘇生法 (愛媛大学 (現 倉敷成人病センター総院長) 新井教授)
麻酔と疼痛生理 (広島大学 弓削教授)
ペインクリニック・ペインサービス (横山准教授)
急性疼痛管理 (森田教授)
   
[5〜6年生(臨床実習)]
 

岡山大学では現在、臨床実習は月曜〜翌週水曜、もしくは水曜〜翌週金曜までの1.5週間で行われます。基本的に午前中は手術室内で麻酔(導入・維持・覚醒)の見学、午後は麻酔・集中治療・ペインクリニックに関する講義とともに手術室内で行われる透視下の神経ブロックを見学します。大学病院では合併症が無く手術侵襲の少ないリスクの少ない症例から肺移植術、肝移植術、小児心臓手術など高度な技術と知識を要求される症例まで麻酔症例が豊富で麻酔の基礎から先端技術が学べます。また近年、話題となっているエコーガイド下の神経ブロックや経食道心エコーなども積極的に行っておりこれらを学ぶ機会も多くあります。

 
 

その他、術前外来では糖尿病、高血圧、虚血性心疾患、深部血栓症など合併症を持った患者の術前評価及び術前管理の方法とその重要性さらに麻酔計画の立て方について学びます。ペインクリニック外来では診察法や硬膜外ブロックや星状神経節ブロックをはじめとする各種の神経ブロック療法の適応と手技について学びます。ICUでは入室している患者の呼吸・循環動態をはじめとする全身状態を把握し、現在患者に行われている人工呼吸管理や持続血液濾過透析などの治療法や今後の治療計画の立て方について学びます。

 
 

また、講義を聴講し見学するだけでは通常の学科講義と変わりません。麻酔科の臨床実習では講義を受け、見学するだけでなく、できる限り学生が体を動かし体験できるかたちで実習を行うことに重点を置いています。麻酔は高度な麻酔シミュレータを用いて、学生が実際に麻酔導入や気道確保、気管挿管、麻酔維持を体験します。さらには硬膜外麻酔や中心静脈穿刺も体験することが可能です。

 

ICUあるいはCCUにおいても人工呼吸器を用いてプレッシャーサポートやCPAP、SIMVなどの各種の人工呼吸モードを体験したり、橈骨動脈穿刺による動脈血血液ガス分析の実施などを通常の学科講義では学べない事を実習します。

 
 

実習期間中は学生一人ずつに指導医がついて一つの各論的なテーマについて深く学習し、最終日にコンピュータを使用したプレゼンテーションを行います。ここでは実際に学生が実習中に担当した自らのテーマに則した症例に関して、その術前評価から麻酔管理上のポイントなどについて具体的に提示し、ディスカッションを行います。

1.5週間という短い期間の中で、麻酔科医が関わる幅広い医療について出来る限り学べるよう、カリキュラムの作成に力を入れています。実習期間中の2〜3コマは学生が学びたいと思うもの(麻酔、集中治療、ペインクリニックいずれも可)を自由に選択できるようにし、また手術室で見学する麻酔症例もできるだけ学生一人ひとりの希望を取り入れ、一方通行的な講義、実習にとどまらないように配慮しています。

また岡山大学では肺移植、肝移植、小児心臓手術など多くの高度先進医療が日常的に行われていますが、学生にもこれらの症例の周術期管理を学ぶ機会を積極的に与えています。

 
 

(学生教育担当:岩崎達雄、花崎元彦)

(C) 2007 Okayama University Graduate School of Medicine, Dentistry, and Pharmaceutical Sciences
Department of Anesthesiology and Resuscitology