移植(肺・肝臓)specialist養成コース

移植の周術期管理を学びたい、
やる気のある医師を常時募集しています。

岡山大学では平成8年より、生体肝移植が行われており、現在159症例をかぞえます。また日本で有数の肺移植施設でもあり本邦での約60%の肺移植症例が岡山大学で移植を受けています。当コースではその両方の周術期管理を研修することが可能です。

肺移植

移植(肺・肝臓)01

岡山大学では平成10年に本邦初の生体肺移植が施行されました。以降8年の間に43例の(日本での生体肺移植症例の約75%)が施行され、脳死移植も9例(日本での脳死肺移植の30%)を数えています(2006年度末)。近年その症例数はさらに増加しており、平成18年度の肺移植件数は8例で、さらに増加する傾向にあります。肺移植患者はたとえ予定手術であっても非常に重篤な状態で、麻酔導入・人工呼吸だけでも生命に危険が及ぶ可能性もあります。我々は、綿密に麻酔計画のもと、胸部外科医・心臓外科医と供に、人工心肺管理を含めた術中管理を行っています。

移植(肺・肝臓)02

移植後患者様は当麻酔科が管理しているICUへ入室します。そこでは、外科医師との良好な信頼関係のもと、麻酔科医が主導的に術後管理を行っています。平成18年度の肺移植術後患者ののべICU滞在日数は184日で、その間、人工呼吸器からの離脱、急性拒絶反応に対する処置、感染の治療、経管・経口からの栄養管理などの全身管理総てに麻酔科医が関わっています。当院で肺移植を受けられた患者のICU生存率は92.1%、長期生存率でも86.2%と、非常に優秀な成績をおさめています。術前に状態の悪かった患者様が、退院時に移植外科医だけでなくICUのスタッフにも同様に感謝の意を述べられることも多く、そのことからも麻酔科医の関与の大きさがうかがわれます。

肝移植

移植(肺・肝臓)03

岡山大学では平成8年より、生体肝移植が行われており、現在159症例を数えます(2006年度末)。中四国では一番の症例数となっており、麻酔科医はその術前、術中、術後の管理に深く関わっています。劇症肝炎などで、他の施設から肝移植目的で搬送される場合にはまず当麻酔科医が管理しているICUで、術前の管理を行います。術中は、ドナー、レシピエントともに麻酔科医が、麻酔管理を行います。肝移植の麻酔管理は、出血量も多く、術前の肝機能、病態によって、また手術の進行と共に、刻々と状況の変化への対応が求められる、麻酔科医にとっては非常に挑戦しがいのある分野であると言えます。

移植(肺・肝臓)04

一見困難そうではあるが、しかし誰にでもシンプルに麻酔管理が行えるように、我々は現在までの症例で培われてきた経験と、最新の研究から、より良いマニュアルの作成を行ってきました。そして術中の出血に対する対処、四肢の補温に対する処置など、患者様にとって良い管理ができるように常に改善しています。

最近では、意識レベルの確認、人工呼吸による悪影響を避ける目的で、早期の覚醒・気管内チューブ抜去を目指しており、10症例で手術室での抜管に成功し、良好な結果を得ています。ICUに入室してからの術後管理も、移植外科医との連携の元、積極的に行っています。日々の検査値の変動のチェック、水分バランスの管理、薬剤投与の指示など、ICU入室中の管理において麻酔科医の役割は非常に多くの部分を占めています。

当院における生体肝移植の成績は、累積生存率で85%と全国でも非常に高い数字を誇っており、これは外科医の技術はもちろんのこと、周術期における移植チームの総合力の成果であると、我々は考えています。

このように移植医療における麻酔科医としての研修を行うには当院は非常に恵まれた環境にあるといえます。

現時点で末期の状態における唯一の根治的治療法といってよい肺移植、肝移植の周術期の管理について、本気で勉強したい若い医師の方々、岡山大学移植specialist養成コースではやる気のあるあなたを待っています。