OUAR DIARY

レジデント 鄭芳毅

2020年2月1日~9日の期間にミャンマー臨床支援ミッションに参加する機会を得ました。当ミッションは、ミャンマーの保健医療向上に約30年にわたって尽力してきた岡山大学ミャンマー医療協力部によるプロジェクトの一つです。2010年から始まり、岡山大学病院形成外科・麻酔科・看護部が中心となり、年1〜2回現地病院で手術を中心とした臨床支援を実施しております。
これまでに累計200名以上の医師や医療スタッフが派遣され、450名以上の患者の方々をミャンマー人医師と共同で治療してまいりました。

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今回のチームは、形成外科医師2名・麻酔科医師2名・手術部看護師1名・他1名から構成され、ヤンゴン総合病院でミッションに従事しました。診療内容としては、2月3日~6日の4日間で頭頸部腫瘍再発に対する切除・再建術4件をそれぞれ1日ずつ施行しました。大学病院で経験した症例よりは麻酔管理が難しくないだろうと甘くみていた私は、大変なショックを受けました。
全く異なる理由で、麻酔管理はかなり難しく、その中から学び取る事柄はどれ程多かったか計り知れません。

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まず1点目は、薬剤・器具・装備などの環境因子です。10時間以上に及ぶ頭頸部腫瘍切除再建術に対して、日本では末梢ライン2本・Aライン・CVラインなどフルラインで臨むのが当たり前と考えていましたが、初日の14時間に及ぶ症例ではなんと末梢ライン1本で対処しなくてはなりませんでした。高侵襲手術による血管内脱水に対して投与できる輸液製剤は細胞外液1種類のみで、物資不足の中で麻酔レベルを担保する難しさを痛感しました。
また、各種薬剤も日本で使い慣れたものとは微妙に用量や濃度が違い、細心の注意を要することから、慣れた環境で麻酔をかけるということがいかに心強いかを実感しました。
2点目は、気道系や出血量の評価、その評価に対する麻酔法の決定です。下顎半切除術後、瘢痕拘縮による予測された換気挿管に対してどのようにアプローチするか、大量出血が予測された症例の麻酔・手術の可否判断について熟慮する上級医の姿をより間近にみることができ、大変勉強になるとともに、いつか私も自らの裁量でこれらの決定を下さねばならないのだということに漠然とした不安を感じました。今回の経験を通して、学ぶことが沢山あったその分、私が麻酔科医としていかに未熟であるかを痛感しました。できなくて恥ずかしい、悔しいと感じたことがあったからこそ、もっともっと成長し経験を積んで再度ミャンマーを訪れたいと強く思いました。

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診療外の時間は、ミャンマー料理とミャンマービールを堪能し、黄金に輝く寺院へ参拝し、ボージョーアウンサン市場でお土産を物色しました。本当に楽しく濃い時間を過ごすことができ、全ての場面がキラキラと心に残っています。
快くミャンマーへ送り出していただき、このような大変貴重な機会を与えてくださった皆様には心から感謝を申し上げます。本当にありがとうございました。