OUAR DIARY

レジデント 柳田 大輔

2018年6月上旬。北欧デンマークの首都コペンハーゲンにてヨーロッパ麻酔科学会が開催されました。会議場ベラセンターのひときわ大きな会場で、人々はコーヒーとクロワッサンを愉しみつつ、少年衛兵たちの奏でる笛と太鼓のリズムに胸を高鳴らせながら、その時は迎えられました。言葉巧みに人々を引きつける司会者と対話形式で繰り広げられる著名な先生の話など、日本とはひと味もふた味も違うオープンニングセレモニーは、学術集会はお堅い場であるという私のイメージを完全に吹き飛ばしてしまいました。私が体験したこの学会は、麻酔科学という学問を扱ってはいるものの、新しいものを披露し、それを議論のテーブルに載せて楽しむお祭りだったように思います。ただ、それを存分に楽しむには私の英語力が不十分であったことは、今後の課題として持ち帰ることとなりました。

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この学会で私は複数のシンポジウムに参加しました。筋弛緩、肥満患者の呼吸管理、3D心エコーの有用性、脳血流自動調節能のモニタリング、副作用のない麻薬などについて学びましたが、この中で最も印象に残ったのは麻薬の話でした。新しい時代の麻薬は、侵害受容器のpH変化に反応して作用する機能を持ち、中枢神経や腸管などに対する副作用を生じないというものでした。これらの副作用は普段麻薬を使用する上で直面している身近な問題であるため、大きな期待を持って聴講できました。

学会以外にも、他大学の日本人医師との交流、屋外のベンチで教授とゆっくりビールを飲んだりなど、普段の生活ではなかなか得られない経験をしました。デンマークには「Hygge」という、心安らげる状態、人と人とのふれあいから生まれる温かな居心地のよい雰囲気、楽しくみんなで集うことなどの意味をもつ他の国の言語には置き換えられない言葉があります。世界一幸福な国にふさわしいその文化は、日本人の忘れてしまった幸福、時間の過ごし方を思い出させてくれる素敵な考え方だと思いました。コペンハーゲンには、せわしなく人が行き交う日本の街にはないゆったりとした時間の流れがありました。

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今回の学会参加は、私にとって初めての海外出張でした。なんとなく一生海外には行かないものと思って生きてきましたが、岡山大学麻酔科のEarly exposureという制度によって突然デンマークでのESAに参加すると知った時は、期待よりも不安の方が強く、どうなることだろうと思っていましたが、一応なんとかなるという自信は得られたように思います。私にとってはこれが最も大きな収穫となりました。

Early exposureは、教授をはじめ、医局の方々の支えによって成り立っています。このような貴重な機会を頂けましたことを、この場を借りて心より感謝申し上げます。