麻酔・集中治療セミナー in 鴨川 2019 報告

4度目を迎えた麻酔・集中治療セミナー in 鴨川が7月6-7日に開催されました。
今回も「鴨川」セミナーと題してはいますが、まずは東京都心でセミナーを開始し、途中で鴨川へ移動するという、これまでと幾分異なった趣向で行われました。その影響もあってか、近くは東京都内、遠くは宮崎から約30名の方に参加頂きました。

1日目、東京の御茶ノ水でセミナーは開会しました。亀田総合病院麻酔科小林収主任部長のご挨拶ののち、早速講義が始まりました。

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まずは、岡山大学病院小児麻酔科金澤伴幸助教の講義「気道管理(気管挿管)」でした。気道管理の生理学から麻酔科医が非常に恐れる換気挿管困難の管理まで、学生の皆さんにとっても初期研修医の先生方にとっても聞き応えのある講義でした。

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続いて、岡山大学医歯薬学総合研究科麻酔・蘇生学谷真規子助教の「ライン確保」の講義でした。末梢静脈ライン、動脈ラインの挿入について、ライン挿入経験のない学生さんにはその手順を、挿入経験のある初期研修医の先生には感覚に頼らない挿入方法をお伝えしました。参加者の皆さん同士でも活発にディスカッションをして頂きました。

ランチョンセミナーとして、亀田総合病院麻酔科植田健一部長による「なぜ亀田の麻酔科か?」というご講演がありました。アメリカでの臨床経験も踏まえて、麻酔科研修をいかに組み立てていくかを非常に魅力的に語ってくださいました。

3番目は、岡山大学病院手術部清水一好助教の「麻酔管理」の講義でした。麻酔管理は術中管理にとどまらないこと、術後の集中治療管理が術中管理とどう関連してくるかという総論的な内容から、術中循環管理で押さえておくべき各論的内容までを、分かりやすく噛み砕いて説明された講義でした。

医学の勉強はここまでで、そのあとは麻酔科医のキャリアについての講演が続きました。
まずは、岡山大学麻酔科医局員で現在国立がん研究センター中央病院麻酔・集中治療科溝渕有助医員による「ロールモデル」の講演でした。市中病院で初期研修と後期研修の前半を過ごした溝渕先生がなぜ大学での研修・大学院入学を選んだのか、溝渕先生が出会ったロールモデルとなる尊敬する上司との出会い、また彼自身が素晴らしいロールモデルとなっていることがわかる非常に楽しい講演でした。

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次に、同じく岡山大学麻酔科医局員で現在近森病院麻酔科杉本健太郎科長による「キャリアパス」の講演でした。杉本先生が留学に至った経緯と、留学先でした仕事、また留学で得た素晴らしい経験を楽しく話してくださいました。「心で考える」は名言でした。

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初日の講義はここまでで、全員で貸切バスに乗り込み、鴨川へ移動しました。東京から鴨川へは2時間を要しますが、車中では参加者の自己紹介を行い、初めて出会った参加者の皆さんがお互いのことを知り打ち解けることができ、また午前中の講演で疲れた頭を癒すのに非常に良い2時間でした。

夕方には鴨川に到着し、懇親会でした。鴨川シーワールドはシャチのパフォーマンスで人気の水族館ですが、今回は日本で唯一のシャチを見ながら食事ができるレストランを貸し切って行われました。大迫力で迫ってくるシャチに皆大興奮でした。また、参加者の皆さんから講義者に積極的に質問が行われるだけでなく、当日あったばかりの参加者の皆さん同士の交流も深まっているようで、3時間の懇親会では話し足らず…。

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2次会は宿泊所となっている亀田総合病院の研修センターで行いました。岡山大学医歯薬学総合研究科麻酔・蘇生学森松博史教授が岡山での仕事を終え到着し、皆将来の展望やお互いのことを語り合い親睦を深める用意時間となりました。

2日目は亀田医療大学に場所を移して開催されました。岡山大学医歯薬学総合研究科麻酔・蘇生学森松博史教授のジャーナルクラブからスタートでした。New England Journal of Medicineに2週間前に掲載されたばかりの集中治療に関する臨床研究論文を、先行研究の結果も踏まえてどう読むかについての講演でした。臨床研究をいくつも実施されてきたからこそ、という切り口のなかなか聞くことのできない内容でした。参加者の皆さんからは、まだそのような論文にそれほど慣れていないであろうにも関わらず鋭い質問がなされていました。

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その後はハンズオンとケースシナリオでした。

ハンズオンはブタを使った経皮的気管切開と中心静脈カテーテル静脈穿刺でした。今回は学生さんの参加が多く、いずれも未経験という方が多くおられましたが、ほぼマンツーマンで指導を受けていただいて、手技手順の習得はもちろんのこと、シミュレーターでの成功体験も積んでいただけたと思います。

ケースシナリオは、麻酔導入時の循環不全の診断と治療でした。麻酔導入時に起こった高度低血圧・心室頻拍の原因を様々な循環モニターおよび経食道心臓エコーを用いて診断し手術可否の決定を行うという麻酔科医にとって重要な知識を学びました。

最後に森松教授から閉会の挨拶をいただき、セミナーは無事終了しました。

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来年度は7月4-5日に開催の予定です。
ご興味のある方はぜひご参加ください。

文責 岡山大学麻酔科 金澤伴幸、谷真規子