ショック

ショック時の病態解明と新しい治療法の開発

研究の概要写真01

敗血症、出血、外傷、アナフィラキシーなど様々な誘因により引き起こされたショック(抹消循環不全)に対する急性期の治療は、輸液・輸血療法、薬剤療法、生体モニタリングの発達により高度な医療を提供できるようになりましたが、ショックに引き続いて発生する臓器不全の病態は未だ不明な点が多く、その治療法と予防法の確立が急務となっています。私たちのグループでは細胞保護作用の活性化による治療を開発し、ショック後に発症する臓器不全治療、予防に向けて基礎研究を展開しています。また、実際に臨床での応用を測るため、人体への安全性などについて検討を加えています。

ショック時には末梢臓器で炎症性サイトカインが誘導され、細胞接着因子の発現などにより炎症性細胞である好中球が炎症局所に集積します。このような好中球から好中球エラスターゼや活性酸素、フリーラジカルが過剰に産生されると血管内皮細胞障害、血管透過性亢進、血栓形成などによる微小循環障害を引き起こし、その結果として臓器不全を発症すると考えられています。

ショック図
研究の概要写真02

私たちはこれまで、敗血症、薬剤性劇症肝炎、急性虚血性腎不全、出血性ショックモデルをラットで作成し、その急性臓器障害の発生機序を解明すると同時に、それぞれのモデルに抗炎症作用や抗アポトーシス作用、抗酸化作用などを持つ物質を投与し、臓器不全の治療効果を検討してきました。

近年、本来は有毒ガスである一酸化炭素(CO)が、極低濃度では抗炎症作用、抗アポトーシス作用さらには一酸化窒素(NO)と同様の血管拡張佐用を持つことが明らかとなり、COの微量投与による臓器移植成功率上昇することなどが報告されています。当グループでも出血性ショック時のCOの肺での細胞保護効果を確認し、随時学会等で発表しています。

また、鳥インフルエンザの重症化がサイトカインの過剰発現(サイトカインストーム)であることからもわかる様に、サイトカインの発現の程度は臓器不全の重症度と密接に関連しており、サイトカインの誘導を適正なレベルに保つために、サイトカイン転写調節因子やその遺伝子多型とショックの発症と臓器不全の重症度との関係について解析を行っています.これらの情報をデータベース化し、術前の遺伝子多型検索やショック後早期の転写調節因子モニタリングにより、重症度の的確な判定と治療方針の決定、さらに生命・生活予後の向上につながると考え、基礎研究を続け、近い将来に臨床での実用化を目指し奮闘中です。

研究の概要写真03

私たちの研究業績はこれまで、30編を超える英文論文としてPeer Review紙に発表し、国際的発信を続けています。また、米国ハーバード大学、ピッツバーグ大学、ニューヨーク医科大学、イタリア共和国科学技術院との共同研究、留学生の派遣などを行っています。

合同研究会議
急性臓器不全グループ 研究カンファレンス記録