三叉神経痛
三叉神経痛とは、顔面が非常に強く痛む病気です。発症年齢は50歳以上の場合が多いです。そして男性より女性のほうが多いと言われています。
この病気は「何かしたときに短く鋭い痛みが走る」のが特徴です。しゃべった時、食事をしたとき、歯磨き、お化粧、などをしたときに痛みます。何も刺激がないときには痛みはありません。
原因は多くの場合、脳幹で三叉神経と血管が接触して、神経が傷んでいるためと考えられています。まれに脳腫瘍や多発性硬化症が原因の事もあります。
診断
特徴的な症状と、MRIで診断します。
治療
主な治療は4種類あります。どの治療も一長一短があり、患者さんと相談して、最も合った方法を選択します。
1)内服
テグレトール®という抗てんかん薬がよく効きます。しかし眠気やふらつきなどの副作用がでることがあります。また、全身の皮疹が出たり、肝機能異常が起こることもあります。副作用がなく、痛みが取れれば、そのまま続けて内服します。
テグレトールが効かなかった場合は、ギャバロン®や漢方薬など少し違った薬を試します。
2)神経ブロック(高周波熱凝固法)
痛みの原因となっている三叉神経を熱で凝固する方法です。そうすると、その神経の領域の皮膚がしびれるのですが、痛みは止まります。安全性が高く、よく効くので、テグレトールが効かなかった場合は当科ではこの治療を行うことが多いです。ただし半年から数年で熱凝固した神経がもとに戻りますのでまた痛みが出る場合があります。その時はもう一度神経ブロックをする必要があります。
眼窩下神経ブロック、眼窩上神経ブロック、おとがい神経ブロックなど、浅い部分でのブロックは、外来で行います。超音波ガイドで行うようになってから、より確実に安全にできるようになりました。ガッセル神経節ブロックなど深い部分でのブロックをするときには、入院が必要になります。麻酔をして眠ってから熱凝固するため、痛みはほとんど感じません。
3)手術
原因となっている血管と神経を離す方法で、根治手術になります。全身麻酔と開頭が必要になりますが、若い患者さんの場合はこちらをお勧めすることが多いです。
脳神経外科に紹介しています。
4)ガンマナイフ
痛みの原因となっている三叉神経に放射線を当てる方法です。当院には装置がないため、ご希望の方には施行可能な病院を紹介します。