岡山循環管理セミナーを行いました。
一般演題2題と特別講演1題でした。
一般演題は岡山大学からと高知大学からで、それぞれretroながら500例近い患者の解析で良かったと思います。
さらなる発展を期待します。
特別講演は長崎大学の原教授で楽しいお話でした。
来年もできればと思います。
岡山循環管理セミナー
2016.01.30 お知らせ
Journal Club 2016.01.24
2016.01.24 お知らせ
Intravascular Complications of Central Venous Catheterization by Insertion Site.
N Engl J Med. 2015 Sep 24;373(13):1220-9. doi: 10.1056/NEJMoa1500964.
PMID: 26398070
## デザイン;
多施設共同研究、RCT、大学病院が4つ、一般病院が5つで10 ICUs。
## 患者とランダム化;
18歳以上のICU患者。鎖骨下、内頸、大腿静脈のうちの2カ所以上が穿刺可能な人。3つから一つ、または2カ所から一つでランダム化のモデルをかえる。
## 試験方法
50回以上中心静脈を穿刺したことがある人だけが穿刺。
スタンダードプレコーションに従う。
カテーテルの抜去時にカテーテル先端と静脈穿刺による血液培養を提出。
カテーテル挿入のままICU退出する場合は、カテーテルからの採血と、静脈穿刺での血液培養を提出。
カテーテル抜去後2日以内に穿刺部位のエコーによる静脈血栓の評価を行う。
### 評価項目
主要評価項目はカテーテル関連合併症(カテーテル感染または症状のある深部静脈血栓症)
二次評価項目はカテーテル抜去後の先端のコロニー形成までの時間や深部静脈血栓症が発症するまでの時間。
## 結果
### 患者背景・カテーテル挿入とフォローアップ
845名が内頸静脈、844名が大腿静脈、843名が鎖骨下静脈。
患者背景は群間に差なし。
カテーテル挿入期間の中央値は3群とも5日間。すべての患者でフォローアップ完了。培養検査は2.9%でmiss、無症候性DVTのデータは59%でmiss。
### カテーテル関連感染と症候性DVT
カテーテル関連感染は鎖骨下で4例、内頸で12例、大腿で10例。
一次評価項目:
大腿 vs 鎖骨下 HR: 3.5 (95% CI 1.5 to 7.8; p= 0.003)
内頸 vs 鎖骨下 HR 2.1 (95% CI 1.0 to 4.3; p=0.04)
内頸 vs 鎖骨下 HR 1.3 (95% CI 0.8 to 2.1; p=0.30)
二次評価項目であるカテ先培養陽性と深部静脈血栓症も有意に鎖骨下で少なかった。
機械的合併症は鎖骨下で最も多く、特に大腿との比較ではOR 0.3 (95% CI 0.1 to 0.8; p=0.03)で有意に大腿静脈で機械的合併症が少なかった。
サブグループ解析
超音波使用と機械的合併症には関連性があり、超音波を使用しない群では機械的合併症の差が大きくなった。
## 結論
鎖骨下静脈穿刺による中心静脈カテーテルは内頸静脈、大腿静脈穿刺によるものより、カテーテル関連感染と症候性DVTの頻度が少ない。しかし鎖骨下静脈穿刺では機械的合併症(主に気胸)が最も多い。
## 批判的吟味
よくデザインされた、臨床的に意義のある研究である。一次評価項目が複合要因(感染と血栓)であること、イベント数が1%前後と低いことが問題点である。鎖骨下静脈のメリットはNNTとして大腿静脈では53,内頸静脈では85である。
Journal Club 2016.01.16
2016.01.16 お知らせ
ずいぶんと古い論文ですが・・・。
今年はちゃんと更新するのが目標です。
High-Flow Oxygen through Nasal Cannula in Acute Hypoxemic Respiratory Failure
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/25981908
N Engl J Med. 2015 Jun 4;372(23):2185-96. doi: 10.1056/NEJMoa1503326. Epub 2015 May 17.
フランスとベルギーの23施設で行われたRCT。18歳以上のICU患者が対象。
選択基準は
呼吸回数25回以上、P/F ratio < 300 on 10L/min酸素が15分以上持続、PaCO2が45mmHgを越えない、慢性呼吸不全がない
除外基準は
PaCO2が45 mmHg以上、喘息や慢性呼吸不全の急性増悪、心原性肺水腫、重症の好中球減少、循環不全、血管作動薬の使用、GCS < 12、NIVの禁忌、緊急挿管が必要な患者、挿管しないという意思表示あり、同意が得られない人
患者はHigh Flow Oxygen、Standard oxygen therapy、noninvasive ventilationの3群に1:1:1で割り付けされた。
Standard Therapy: non rebreathing mask 10L/minでSpO2 > 92%
High flow oxygen therapy: 100%, 50L/min. SpO2 > 92%
NIV: Face mask, ICU ventilator, Pressure supportでTV 7-10 ml/kg, PEEP 2 to 10 cmH2O, SpO2 > 92%, 一日8時間以上を2日間は継続
一次評価項目:28日以内の再挿管
挿管の基準:循環不安定、意識障害、呼吸不全の悪化(呼吸回数>40,呼吸負荷の軽減がない、気道分泌物の増加、pH < 7.35のアシドーシス、SpO2 <
90%が5分以上継続。
二次評価項目:ICU死亡率、90日死亡率、人工呼吸フリー日数(入室から28日目までの)
結果
94名がStandard oxygen therapy
106名がHigh flow oxygen therapy
110名がNIV
肺炎が64%両側浸潤影が79%。
評価項目の結果
挿管率はHFNCで38%、通常治療で47%、NIVで50%。(有意差無し)
ICU死亡率と90日死亡率は有意差あり
通常治療のHazard Ratio 2.01 (1.01 to 3.99)to HFNC。
NIVはHR 2.50 (1.31 to 4.78) to HFNC。
サブグループ解析では、P/F ratio < 200のグループでよりHFNCの挿管率が外の2群に対して有意に低かった。
結論
急性の低酸素性呼吸不全の患者に対する酸素療法において、HFNCは通常のマスクやNIVと比較して死亡率を改善した。しかしながら一次評価項目の挿管率には差がなかったが・・・。