虚血性心疾患を合併した高齢者の消化管手術におけるゴール志向型輸液療法:ランンダム化比較試験 World J Surg (2013) 37:2820?2829 DOI 10.1007/s00268-013-2203-6

2014.01.12 お知らせ

仮説
虚血性心疾患のある高齢患者の消化管手術において、Goal directed fluid therapyは合併症の頻度を減らし、回復までの時間を短縮する。

デザイン
前向き比較対照試験

対象
適正項目
60-80歳
冠動脈造影を施行している
中等度から高度侵襲の予定消化管手術
WHOの虚血性心疾患の定義に当てはまる
3-5時間の手術および輸液療法に耐えうる
NYHA II-III度
BMI 18-24
予測出血量が600ml以下
腎機能、肝機能が正常

除外項目
緊急手術と低侵襲手術
ASA PS III以上
術前に輸液療法をうけているもの
うっ血性心不全、心筋症、リウマチ性心疾患、肺性心
ジゴシン、ニトログリセリンなどの血管作動薬を3ヶ月以上内服
術前、術中に利尿薬の投与
術前の酸塩基平衡異常、電解質異常
中心静脈ラインの挿入ができないもの
意識障害など協調ができないもの
肝炎やエイズなどの血液ウイルス疾患
入院中の2回目以上の手術
脱水

介入
コントロール group
導入時晶質液 5-7ml/kgボーラス
維持輸液は4/2/1 rule
不感蒸泄はsmall incisionで2ml/kg/hr, large incisionで4-6ml/kg/hr
出血量は同量のHES 130/0.4で補正

GDT group
GDTは手術開始から24時間
CI < 2.5, SVI < 35, SVV > 12%の時500mlの晶質液をボーラス。それでも改善がなければHES 130/0.4を250mlボーラス。
Fluid therapyのゴールはSVI > 35
CI < 2.5, MAP < 66の時は循環作動薬(ノルアド、ドパミン)を使用

アウトカム
心イベント
心筋虚血
心筋梗塞
重症不整脈
うっ血性心不全
心イベントによる死亡

術後消化管機能障害
消化不良
嘔吐
下痢
イレウス

結果
30 vs 30
両群同様の手術
心イベント 36.7% vs 60% (p=0.12)
ガスや便の排泄、経口摂取可能までの時間はGDT群で短い。
ICU stay, hospital stayもGDT群で短い。

輸液総量は GDT 2650 ml vs コントロール3950mlでGDT群で有意に少ない。
膠質液は1000ml vs 800mlで有意にGDT群で多い。

結論
虚血性心疾患をもった予定消化管手術の患者ではGDTは腸管機能は改善し入院期間は短縮するが、心イベントは減らない。