Journal Club 2016.02.14

2016.02.14 お知らせ

A Conceptual Framework for Appropriateness in Surgical Care: Reviewing Past Approaches and Looking Ahead to Patient-centered Shared Decision Making.
Cooper Z, Sayal P, Abbett SK, Neuman MD, Rickerson EM, Bader AM.
Anesthesiology. 2015 Dec;123(6):1450-4. doi: 10.1097/ALN.0000000000000899.

以前より外科手術の適切性(appropriateness)は盛んに議論されてきた。
適切性は高い質、患者志向型、および決定権の共有によってもたらされると考えるべき。

歴史的背景
歴史的に適切なケアーとは”more good than harm”と定義されてきた。
近年では効果に見合うコストかどうかも問題である。
さらに患者や家族は治療のrisk and benefitを十分理解し、患者の好みや価値観と期待される治療効果が一致している必要がある。

これまでの過剰な手術適応を防ぐ方策は主に”適切な術者”と”適切な施設”を認定することにあった。今後は”適切な患者”対する手術であることを確認していかなければならない。

今までの適切性と内部・外部評価
今までの評価は必要でな医療が一定の水準で経済的に妥当なレベルで行われていることにあった。
内部監査も推奨され、手術に伴う合併症や死亡、コストの削減に貢献するとされている。

今までの適切性評価:適応の評価
標準的な適応で手術が行われているかを評価する方法

今までの適切性評価:資源利用に関する評価
一般的には行政や支払機関によって行われる評価である。
医療の質よりもコストを過大評価するため、問題視されることもある。

今までの適切性評価:Rand研究所とUCLAの取り組み
Rand研究所とUCLAはそれぞれの手術における最善と最悪のシナリオを文献検索から作った。これにより特別に変わった手術を減らすことはでき、患者要因も組み込むことが可能である。しかし複雑なアウトカムを評価するのはやはり難しい。たとえば、CABGは狭心症や死亡率を減らすことはできるが、脳卒中や認知障害を引き起こす。患者個々の価値観を考慮した予後を測定するのはとても難しい。

今までの適切性評価:金銭的問題
手術を必要とする患者の紹介は施設の質が高いところではなく、紹介しやすいところに紹介されるケースが多い。

患者参加の重要性
これらの適切性評価のなかには患者の主体性が含まれていない。意思決定を共有することが、手術の適切性を高めるためには重要なはずである。一般的に麻酔科医はこのような患者への説明や、議論の進め方に慣れていない。
これからの周術期管理では意思決定に患者参加を促し、そのプロセスを評価する必要がある。現時点では同意書へのサインは患者の意思決定への参加がなくても行われている。つまり意思決定の質を測定していくことが望ましい。我々は3つの評価項目を挙げている。
1:患者が手術を理解し、そのリスクとベネフィットを理解している。
2:意思決定のプロセスを評価し、患者が意思決定に至るまでの時間や議論を必要としているかどうかを確認する。
3:予後の測定;意思決定や治療は本当に患者の価値観やゴールや優先事項に沿っているか。

結論
不適切な手術を減らすためには意思決定に対しても患者参加を促して行くことが大切である。意思決定への患者参加が十分に得られれば、患者の積極的な治療への参加が得られ、予後が改善し、不適切な手術が減少する。
意思決定の質を評価することはまだまだ難しい。我々は十分なツールをもっていない。適切で患者中心のケアーがこれからは重要となってくる。

批評
現在のアメリカでの考え方かと思います。Appropriate, Patient-centered Careは日本でも十分通用するでしょうね。今後はHigh Quality Shared Decision Makingに麻酔科医が強く関わって行くべくだと思います。